ULTRASONEのDJモニターヘッドホン「Signature PURE BLACK」をレビュー・評価!Signature PURE BLACKは買いのポータブルオーディオ機器なのでしょうか?
はじめに
どうも!普段は部屋の隅っこでiFi Audioのmicro iDSD Signatureを相棒に、ハイレゾのオーケストラ音源に浸っている「音の細道」の住人です。
みなさん、ULTRASONE(ウルトラゾーン)と聞いて何を思い浮かべますか?「ゾネホン」「低音がヤバい」「S-Logicという魔法(あるいは呪文)」「突き刺さる高域」……。そう、ドイツの異端児とも言える、非常に個性の強いブランドですよね。
そんなULTRASONEから、衝撃的な価格で登場したのが「Signature PURE BLACK」です。実売27,500円。同社のSignatureシリーズといえば、かつては10万円超えが当たり前だった「高嶺の花」でしたが、それが3万円を切る価格で手に入る。しかも、伝説の「Signature DJ」の系譜を継ぐというじゃないですか。
でも、ちょっと待ってください。私は普段、AKG K702の広大な音場や、ゼンハイザー HD 600のどこまでもナチュラルな中域、あるいはMDR-M1STのシビアなモニターサウンドをリファレンスにしている「クラシック・ハイレゾ派」です。正直に言えば、「DJモニターでクラシックってどうなのよ?」と、半分疑いながら手に取りました。
今回は、この「Signature PURE BLACK」が、単なるコスパ重視の廉価版なのか、それともオーディオファイルをも唸らせる本物なのか。愛用のmicro iDSD Signatureにぶち込んで、弱点も含めて忖度なしに語り尽くしたいと思います!
ULTRASONE Signature PURE BLACKの概要
まずは本機の立ち位置をおさらいしておきましょう。
「Signature PURE BLACK」は、2023年に発売され大きな話題を呼んだ「Signature PURE」のマイナーチェンジ版……というレベルに留まらないアップデートモデルです。
コンセプトは「プロが認めるSignatureサウンドをより多くのユーザーへ」。
ULTRASONEの最高峰シリーズ「Signature」の名を冠しながら、構造をシンプルにまとめ、製造コストを抑えることで手の届きやすい価格を実現しています。
特筆すべきは、単なる色替えモデルではないということ。内部基板の刷新による4.4mmバランス接続への完全対応、そして装着感を左右するイヤーパッドやヘッドパッドの改良など、ユーザーの「そこが欲しかった!」という声に応える形でブラッシュアップされています。
DJモニターという看板を背負いつつも、リスニング用途、さらには制作モニターとしてのポテンシャルも秘めているというこの一台。スペックだけ見ると「全部入り」に近い印象を受けますが、果たしてその実態はどうなのでしょうか。
ULTRASONE Signature PURE BLACKの詳しい内容
さて、ここからは本機の技術的なこだわりや変更点を、メーカー情報を深掘りしながら解説していきます。
1. 心臓部:50mmマイラードライバー
本機には大口径の50mmマイラードライバーが搭載されています。
マイラーというのはポリエステルフィルムの一種ですが、ULTRASONEはこの素材の使いこなしが非常に上手い。大口径ならではの空気の押し出し感がありつつ、レスポンスが非常に速いのが特徴です。
メーカーは「サブベースまでしっかりモニタリングできる深い低域」を謳っていますが、これは単に低音がデカいという意味ではなく、可聴帯域の下限ギリギリまでエネルギーを維持できる、という意味でしょう。
2. 独自技術「S-Logic 3」と「DDF」
ULTRASONEの代名詞といえば、スピーカーで聴いているような空間の広がりを作るS-Logicテクノロジー。本機にはその最新世代である「S-Logic 3」が採用されています。
具体的には、ドライバーを意図的にオフセット(中心からずらして)配置し、耳介に反射させて音を届ける仕組み。さらに、DDF(Double Deflector Fin)と呼ばれる小さなフィンが、音の回折をコントロールします。
これにより、ヘッドホン特有の「頭の中で音が鳴る(頭内定位)」を軽減し、奥行きのある描写を目指しています。クラシックを聴く身としては、この「奥行き」がどこまでオーケストラの配置を再現してくれるかが鍵になります。
3. FGCテクノロジー(ヘッドパッドの窪み)
今回、個人的に「おおっ」と思ったのがここ。ヘッドパッドの中央に「窪み」が入っています。
これはFGCテクノロジーと呼ばれ、頭頂部への圧力を分散させるための工夫です。296gという重量は、K702(約235g)よりは重いですが、この工夫のおかげで長時間のリスニングでも「頭のてっぺんが痛い」という現象を抑えようとしています。
4. 4.4mmバランス接続への正式対応
前作からの最大の進化点と言ってもいいでしょう。
内部基板から見直され、4.4mmバランス接続に標準で対応しました。しかも、4.4mmバランスプラグ付きのストレートケーブルが最初から付属しているんです。
通常、この価格帯のヘッドホンでバランス接続しようと思ったら、別売りのリケーブルを買って+1万円……なんてこともザラですが、最初から「micro iDSD Signature」のようなバランス出力を持つアンプの恩恵をフルに受けられるのは、大きなアドバンテージです。
5. 装着感の改良:スエードタイプ・メモリーフォーム
イヤーパッドは、肌触りの良いスエードタイプに変更されました。さらに、内径を拡大調整したとのこと。
密閉型はどうしても耳が蒸れたり、パッドが耳に当たって痛くなったりしがちですが、この改良が快適性にどう寄与しているのか。また、スエード素材による「音の吸収と反射のバランス」がどう変化したのかも気になるところです。
ULTRASONE Signature PURE BLACKの内容まとめと仕様表
ここで一旦、特徴を箇条書きで整理しておきましょう。
内容まとめ
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伝説の継承:Signature DJのエッセンスを手頃な価格で再現。
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強靭な低域:50mmマイラードライバーによる、深みとキレのある低域再生。
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最新の空間表現:S-Logic 3 + DDF技術で、自然な音場と定位感を実現。
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バランス対応:4.4mmバランスケーブル同梱。買ったその日からバランス駆動が可能。
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装着感の追求:FGCテクノロジー(頭頂部圧分散)とスエードパッドで疲れにくい。
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信頼のコネクター:スクリューロック式3.5mmプラグで、激しい動きでも抜けない。
製品仕様表
ULTRASONE Signature PURE BLACKのレビュー
お待たせしました。ここからは、私のリファレンス環境である iFi Audio micro iDSD Signature に繋ぎ、4.4mmバランス接続をメインに、じっくりと聴き込んだレビューをお届けします。
比較対象は、私の「耳の基準」となっている、AKG K702、HD 600、MDR-M1ST、そしてHA-MX100Vたちです。
音質面:これぞ「現代のゾネサウンド」
第一印象は、「濃い!そして速い!」。
「PURE」という名前から、MDR-M1STのような「素っ気ないほどフラットな音」を想像すると、良い意味で裏切られます。これは、音楽のエネルギーを凝縮して耳に叩き込むような、非常にエネルギッシュな音です。
低域:地を這う剛健な低音
さすがDJモニターの系譜。低域の量感は、HD 600やM1STより一段、いや二段ほど多いです。
特筆すべきは、単に「膨らんだ低音」ではないこと。50mmの大口径ドライバーが、凄まじい制動力で「ドシッ!」と止まる。
バッハのオルガン曲(Toccata and Fugue in D minor)を聴くと、足鍵盤の最低音が床を震わせるような感覚が見事に再現されます。この「サブベース」の表現力は、開放型のK702では絶対に逆立ちしても出せない、本機最大の魅力の一つです。
中域(ボーカル):意外なほど生々しい
「低音が強いとボーカルが埋もれるんじゃ……」と心配しましたが、そこはULTRASONE。中域が少し凹んでいる(いわゆるドンシャリ)と思いきや、ボーカル帯域には独特の「ツヤ」と「張り」があります。
オペラのソプラノ(マリア・カラスなど)を聴くと、声の輪郭がハッキリしていて、バックのオーケストラに埋もれません。ただ、HD 600のような「包み込まれるような優しさ」はなく、どちらかというと「目の前で歌っている」ような近接感があります。
高域:刺さるか刺さらないかの絶妙なライン
ULTRASONEといえば「刺さる高域」が有名ですが、本機はかなり洗練されています。
ハイハットの音やヴァイオリンの倍音成分は、非常に明瞭でクリスピー。解像感は高いです。ただ、FLAC 192kHz/24bitの音源を聴いていると、時折「シャリッ」とした硬さを感じることがあります。この辺りは、Victor HA-MX100Vのストレートな鳴り方に近いですが、あちらよりも少し華やかです。
音の質感:ウォームかクールか、リアルか幻想的か
質感は、「ややクール寄り、かつ極めてリアル」です。
ゼンハイザーのような温かみのある音ではなく、音の粒子を一つ一つ際立たせるような、解像度重視の鳴り方。しかし、S-Logic 3の効果か、そこに独特の立体感が加わるため、「無機質」には感じません。むしろ、コンサートホールの最前列で浴びる音のような、生々しいリアリティがあります。
音場・定位・分離
ここが面白いところ。
音場:K702のような「広大な宇宙」ではありません。むしろ、「濃密な近接空間」。しかし、左右の幅だけでなく、上下と前後のレイヤーがハッキリ分かれています。
定位:これが非常に優秀。S-Logic 3のおかげか、楽器の位置が「あ、そこだ」と指をさせるほど正確。
分離:多層的なDDF技術の効果は絶大です。オーケストラがトゥッティ(全合奏)で鳴っている時でも、木管楽器のフレーズが埋もれずに浮き上がってきます。この「音の書き分け」能力は、3万円以下のヘッドホンとしてはトップクラスでしょう。
レンジ感、解像度
レンジは、スペック上の8Hz~35kHzを裏切らない広さを感じます。特に下方向への伸びが素晴らしい。
解像度については、M1STが「音のアラを探す」ための解像度だとすれば、本機は「音楽のテクスチャを楽しむ」ための解像度。細部の音を拾いつつも、音楽としてのまとまりを失わない絶妙なバランスです。
ダイナミクス
弱音から強音への移行、いわゆる「立ち上がりの速さ」は、マイラードライバーの面目躍如。
クラシックの交響曲(ベートーヴェン第5番の冒頭など)では、あの「ジャジャジャジャーン!」の衝撃が、音の濁りなく、爆発的なエネルギーを伴って届きます。このダイナミズムは快感です。
適合音楽ジャンル:クラシック愛好家の視点から
本来DJモニターである本機ですが、意外にもクラシックとの相性は悪くない、というか一部の曲では最高です。
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大編成オーケストラ(マーラー、ワーグナー):◎。低域の安定感と分離の良さが活きます。コントラバスのゴリッとした質感を出したいなら、K702よりこちら。
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バロック・室内楽:〇。チェンバロの繊細な音も綺麗に拾います。ただ、もう少し「空気感」の柔らかさが欲しいと感じるかも。
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ピアノ・ソロ:〇。打鍵の衝撃がリアル。低音弦の唸りが気持ちいい。
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EDM・ロック:◎◎(完璧)。本来の土俵。キックの重さとスピード感が病みつきになります。
ぶっちゃけ、クラシック専門で「広々としたホールトーンを聴きたい」ならK702を勧めますが、「指揮者の位置で、全ての楽器の動きを把握したい」なら、このSignature PURE BLACKは非常に面白い選択肢になります。
接続性:4.4mmバランスの恩恵
今回、一番強調したいのがここ。
付属の4.4mmバランスケーブルを使い、micro iDSD Signatureのバランス端子に繋いだ瞬間、音が化けます。
アンバランス接続(3.5mmカールケーブル)だと、少し低域がぼわつく場面がありましたが、バランス駆動にすると、全体がキュッと締まり、音場が左右にグッと広がります。ノイズフロアも下がり、S-Logic 3による立体感がより鮮明になる。
このケーブルが同梱されているという事実は、コスパという言葉だけでは片付けられない「誠実さ」を感じます。
使用機器の汎用性
インピーダンス32Ω、感度105dB。
数値通り、非常に「鳴らしやすい」です。iPhoneにアダプタ経由で繋いでも、十分な音量と迫力が得られます。
もちろん、micro iDSD Signatureのようなパワフルなアンプを使えば、さらに低域のグリップ力が増しますが、「アンプがないと本領を発揮できない」という気難しさはありません。どんな機器に繋いでも「ULTRASONEの音」を聴かせてくれるタフさがあります。
装着性:頭頂部の「窪み」が救世主になるか?
さて、音質と同じくらい、あるいはプロの現場や長時間のリスニングではそれ以上に重要なのが「装着性」です。
正直に言いましょう。私はこれまでのULTRASONEの装着感には、少しばかりの「覚悟」が必要だと思っていました。側圧が強かったり、頭頂部が一点に当たって痛くなったり……。
しかし、今回のSignature PURE BLACKは、そのあたりの弱点をかなり真面目に潰しにきています。
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FGCテクノロジーの恩恵:
ヘッドパッド中央の窪み、これ、ただの飾りじゃありません。実際に装着してみると、頭頂部の最も高い部分への圧力がフワッと逃げる感覚があります。296gという、リファレンス機のK702より重い筐体ながら、重量バランスがうまく分散されているため、数字ほどの重さは感じません。 -
スエードパッドの心地よさ:
今回採用されたスエード素材。これが実にいい仕事をしています。合皮のような「ペタつき」がなく、肌当たりが非常にソフト。さらにメモリーフォームの沈み込みが絶妙で、眼鏡をかけている私でも、密閉性を損なうことなく優しくホールドしてくれます。 -
内径の拡大調整:
「イヤーパッド内径の拡大」も地味に効いています。耳をスッポリと包み込むアラウンドイヤー(耳覆い)スタイルとしての完成度が高まっており、耳介がパッドに当たって痛くなることが劇的に減りました。
ただし、側圧は「DJモニター」らしく、やや強めです。
SONY MDR-M1STのような「添えるだけ」の軽快さはありません。その分、遮音性は抜群ですが、頭の大きな方は、最初は少し「締め付け」を感じるかもしれません。使い込むうちに馴染んでくるとは思いますが、この「ガッシリ感」は好みが分かれるポイントでしょう。
デザイン面・質感などモノとしての魅力
デザインについては、一言で言えば「プロの道具としての機能美」。
Signatureシリーズの象徴である、あのハウジング中央のプレート。今回の「BLACK」モデルは、全体がマットブラックで統一されており、プレートのロゴが主張しすぎず、非常に精悍な印象です。
質感はプラスチックが主体ですが、安っぽさはそれほどありません。むしろ、手に持った瞬間に感じる「剛性の高さ」は、さすがドイツ設計。ヒンジの動き一つとっても「カチッ」としていて、現場で雑に扱っても壊れそうにない安心感があります。
ただ、K702のような「工芸品的な美しさ」や、HD 600のような「老舗の気品」とは種類が違います。あくまで「現場のギア」としての格好良さ。個人的には、この武骨な感じ、 micro iDSD Signatureの無骨なメタルボディと並べると最高にマッチすると思っています。
用途の適性
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DJ・音楽制作・モニタリング:◎(低域確認に最適)
M1STやHA-MX100Vが「中高域の解像度で音を探る」ツールなら、本機は「リズム隊の土台と、全体のエネルギーバランスを確認する」ツールです。特にサブベースまで見えるので、現代的な楽曲制作には欠かせないモニターになるでしょう。 -
リスニング:◎(楽しい!)
モニターと銘打っていますが、リスニング用としても一級品です。特に「音を浴びる」ような楽しさを求めるなら、本機に勝るものはなかなかありません。 -
クラシック鑑賞:〇(ただし曲を選ぶ)
前述の通り、低域の安定感が必要な大編成やオルガン曲には最高です。反面、小編成の弦楽四重奏などで「静寂の空気感」を重視するなら、開放型のK702に軍配が上がります。
同社内他機との比較:Signature DJの亡霊を追うな、これを見ろ
ULTRASONEファンの間で語り草となっているのが、かつての名機Signature DJです。
Signature PURE BLACKは、そのエッセンスを継承しているとされていますが、聴き比べると性格は少し違います。
Signature DJが「もっと派手で、もっと攻撃的な、ある種の色気」を持っていたのに対し、このPURE BLACKは、より「現代的なフラットさ」に寄せています。低域の質圧は維持しつつも、中高域のトゲを少し丸め、バランス接続によって分離感を高めた。
つまり、「伝説を現代の技術で、しかも圧倒的な低価格で再定義した」のが本機です。10万円超えのモデルと比べるのは酷ですが、3万円以下でこの「Signatureの血」を味わえるなら、文句を言う筋合いはありません。
競合他社モデルとの比較:三つ巴の戦い
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vs SONY MDR-M1ST:
M1STは「正確無比、でも面白みはない」。PURE BLACKは「正確さの上に、音楽の躍動感を乗せる」。
解像度はいい勝負ですが、音場の広さと低域の深さではPURE BLACKの圧勝。逆に、超高域の緻密なチェックならM1STでしょう。 -
vs Sennheiser HD 25(DJの定番):
HD 25が「中域の押し出しとタフさ」なら、PURE BLACKは「レンジの広さと空間の階層表現」。
現場でガンガン使い倒すならHD 25ですが、自宅でのリスニングや、より緻密な音作りを並行するなら、圧倒的にPURE BLACKの方が解像度で上回ります。 -
vs Audio-Technica ATH-M50x:
M50xは非常に優等生ですが、PURE BLACKを聴いた後だと少し「平面的」に感じてしまいます。S-Logic 3による奥行きの表現は、やはりULTRASONEだけの特権です。
コストパフォーマンス:事件レベルの安さ
実売27,500円。
4.4mmバランスケーブルが最初から付いて、S-Logic 3搭載、しかもSignatureシリーズの品質。
これ、コスパという言葉で片付けるのは失礼なレベルです。iFi Audio micro iDSD Signatureのようなバランス対応アンプを持っている人にとっては、追加投資なしで最高環境が手に入るわけですから。
正直、5万円と言われても納得してしまう音質と機能性です。
ULTRASONE Signature PURE BLACKのメリットとデメリットは?
ここで一旦、冷静になってメリット・デメリットを整理しましょう。
ULTRASONE Signature PURE BLACKならではの価値や長所は?(箇条書き)
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唯一無二のS-Logic 3体験:密閉型なのに音が頭の中にこびりつかず、スピーカーのような奥行きを感じられる。
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「本物」の重低音:単にブーストされた低音ではなく、50mmドライバーが叩き出す、タイトで深い、階層の見える低音。
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バランス接続標準対応:4.4mmケーブル同梱は「神対応」。セパレーションの向上をすぐに体感できる。
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疲労軽減の工夫:FGCテクノロジーとスエードパッドにより、長時間の作業・リスニングも現実的になった。
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圧倒的な所有欲:Signatureシリーズを所有しているという満足感。マットブラックの渋い質感。
ULTRASONE Signature PURE BLACKの弱点や改善要望点は?(箇条書き)
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高域の「ゾネらしさ」は健在:かなり改善されたとはいえ、時折感じる高域の「金属的な硬さ」は、マイルドな音や自然な音を好む人には不向き。
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側圧の強さ:DJ用途を想定しているため、リスニング専用機としては少し締め付けが強い。
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「空気感」の欠如:開放型リファレンス(K702など)と比較すると、音がダイレクトすぎて、ホールの天井の高さを感じるような表現は苦手。
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ケースが袋:キャリングバッグは付属しますが、高価なSignatureシリーズとしては、ハードケースが欲しかったという贅沢な悩み。
ULTRASONE Signature PURE BLACKがおすすめのユーザーなど
ULTRASONE Signature PURE BLACKがおすすめのユーザーは?(箇条書き)
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低域の質に妥協したくない人:量感だけでなく、「速さ」と「深さ」を両立した低音を求めている人。
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バランス接続アンプの持ち主:micro iDSD Signatureなどのポテンシャルをフルに発揮させたい人。
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「モニター」だけど「楽しく」聴きたい人:音の粗探しだけでなく、音楽のエネルギーを浴びたい人。
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現代的な音楽(EDM、アニソン、映画音楽)を好む人:打ち込み音源の分離とパンチ力は驚異的です。
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ULTRASONEに興味はあるが、高くて手が出なかった人:これがSignatureシリーズへの「最高の入門機」です。
ULTRASONE Signature PURE BLACKがあまりおすすめではないユーザーは?(箇条書き)
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極上の「柔らかさ」を求める人:ゼンハイザーのような温かく包み込む音を期待すると、少し攻撃的に感じるかも。
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広大な音場を求める人:開放型の広がりには勝てません。あくまで「濃密な空間」を楽しむ機種です。
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頭の締め付けに極端に弱い人:側圧の強さは無視できないポイントです。
レビュアーによる私感まとめと本機が買いかの結論
さて、結論です。
iFi Audio micro iDSD Signatureをリファレンスに、AKG K702やHD 600、さらにはM1STまで揃えている「耳の肥えた(わがままな)」私から見て、このSignature PURE BLACKは買いなのか?
答えは、「手元に置いておくべき、最高のスパイス」として、間違いなく『買い』です。
確かに、クラシックのバッハやマーラーを聴く際、K702のような「神聖な空気感」は得られません。しかし、このヘッドホンにしか出せない「音の骨格」と「圧倒的な推進力」がある。
特に、オーケストラのコントラバスやチェロの「ゴリッ」とした質感、ティンパニの「ズシン」と響く空気の震え。これは、私のどのリファレンス機も持っていない、本機だけの強力な武器です。
普段はHD 600で優雅に聴き、MDR-M1STでシビアに音を確認する。そこに、このPURE BLACKが加わることで、「音楽の持つエネルギーを全身で浴びる」という、オーディオの原点にして最大の喜びが補完されます。
「買いではない」パターンをあえて挙げるなら、「すでにSignature Masterなどの上位機種を持っていて、その音に完全に満足している人」くらいでしょう。あるいは、3.5mmアンバランスしか出力がない環境で、かつクラシックしか聴かないという人。それ以外の、「良い音が欲しい、でも3万円以下で抑えたい、かつ個性も欲しい」という全ユーザーにとって、これは現代の奇跡のような一台です。
まとめ
ULTRASONE Signature PURE BLACKは、名門の血筋を正しく引き継ぎながら、驚異的なコストパフォーマンスと現代的な利便性(4.4mmバランス対応)を手に入れた、「令和のDJモニターの決定版」です。
その音は、どこまでも深く、速く、そしてドラマチック。
クラシック愛好家である私も、このヘッドホンで聴くマーラーの「巨人」には、思わず拳を握るほどの感動を覚えました。
モニターとしての冷徹さと、リスニング機としての情熱。
その両方を、この漆黒のハウジングに閉じ込めたSignature PURE BLACK。
あなたのオーディオライフに、新しい「刺激」と「深化」をもたらしてくれること、間違いありません。
さあ、ボリュームを少し上げてみませんか?
そこには、今まで聴こえていたはずの音の、さらに奥にある「熱」が待っています!


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